第45回東京都道場少年剣道錬成大会

 平成27年5月6日(水),日野市市民の森ふれあいホールで,今年初の小学生高学年チームと低学年チームの2チームをエントリーし,錬成大会に参加しました。

小学生高学年は1回戦はシード,2回戦からの登場です。お相手は三鷹武道館,先にお相手の剣道を見られたので選手も落ち着いた様子,自信をもって試合に望みましたが,勝負は下駄をはくまでわからないものとはよく言ったもの,期待の副将をケガで欠き,立ち上がりの硬さもあって先鋒中堅のポイントゲッターがまさかの引き分け,次鋒は各上の相手に見事一本勝ちしたものの,副将大将でひっくり返されて勝負の難しさを感じる不完全燃焼な試合となってしまいました。

 先鋒のF君は,左足が床につき体の運用がもたつく感じで,出す技も単発,やや左にひねった様な打突も目立ち,打ち損じも多く,剣道内容ではお相手を圧倒していたものの,引き分けと実力が出せない結果に,苦しいスタートとなってしまいました。

 次鋒のI君は戦前の印象では,お相手はなかなかの選手で,深入りせず引き分け上等だったのですが,先鋒戦での影響もあり,一本を取りに行く作戦に変更,よくしのいで,持ち技の小手を決めて流れを手放しませんでした。内容的には,もっと足を使い打突後の左足の引き付けを早くすることで連続技やキレのある面技につながると思います。

 中堅Uさんは次鋒が取り戻した流れを渡さず,幸先よく得意の返し胴で一本を先取,その後は守りの剣道で持ち前の攻撃型のスタイルが出ませんでした。一本を取り返された場面でも中途半端に打って出て,間合いで止まり,抜き面を打たれるという内容に,勝ちパターンを意識した試合運びを作るように日頃から稽古してもらいたいと思います。

 副将のW君は,ケガの選手の交代で急遽出場の選手でした。最近は稽古でも目立たず,これをきっかけに奮起を期待したいところでした。剣道を始めた当初は,一番センスが良く今後を期待した選手の一人で,内容もやはりセンスを感じる試合運び,間合い,打突のタイミングは天性のもの,出ばなを捉えた面はあと一歩の技でしたが,力不足は補えない状況でした。才能のある選手だけに,勝利を求めた稽古を継続してもらいたいと思います。

 大将はM君,オーダー表の最初に名前を埋めた一本気の剣道は大将にふさわしい!「一生懸命」,自分の剣道を全力で出し,相手に立ち向かう姿は,不器用ながら私の心を強く揺さぶる。近代剣道では,ちょんちょんと当てる技が主流な中で,彼の真っ向から振りかぶって大きく打つ面は,時代に逆流するかのような技ですが,その相手を圧倒する気魄と真っ向勝負が,彼に勝負の要領を教えて,勝つことを中心にした剣風に変えさせたくない,指導者としてのジレンマを感じさせます。
 一方,手の内はまだまだ使えて打突しておらず,今後の課題も見えた内容でした。お相手が対照的に,かつぎ引き面で2本取ったことが,より彼の剣道に輝きを与える結果となりました。


小学生低学年チームは,真水剣友会との1回戦。2回戦は東金町剣道クラブとの戦いとなりました。

 先鋒のT君はゲンキ一番の突貫小僧。我を忘れるほど打ちまくりましたが,引かない相手に自分が引き技を連発。結局場外3回と会場中を駆け回り,無念の反則負け。良い抜き胴を見せていただけに,一本取ればと思いましたが,課題が残る内容でした。2回戦からは選手交代,悔しさで涙を見せる姿に,今日の敗戦を明日の力に変えてほしいと思いました。

 次鋒は抜擢したK君,終始落ち着いた剣さばき,出小手,抜き胴,飛び込み面と技のバランスも良く,今後に更なる飛躍を感じる剣道でした。後は間合いのつめ方を工夫をすればもっと強い剣道になることでしょう。

 中堅のH君は,本来は大将の起用を考えていた体も剣道もスケールの大きい選手。一足一刀からの面打ちは迫力満点。しかし,なぜか返し技や引き技を多用し,自分から不利な状況を作ってしまいます。まずは自分の剣道の骨格を考えて流れを構成してみてください。一足一刀からの小手技も上手ですから,攻める剣道を考えてみてください。

 副将のNさんはスピード感のある剣道を披露してくれました。足さばきも軽快で,手数でも相手を圧倒していました。しかし,当たっているのになかなか旗が上がらず,残心と打突後の抜けに課題を残しました。ただし,自分の持っている能力の高さをあらためて証明する結果となりました。今後の稽古に対する取り組み方に期待します。

 大将のN君は本来先鋒の選手。経験値が一番高いので今回は大将の起用でしたが,大柄な選手に対して一回り小さい体でどう対抗するか見ものでした。相手に自分のスピードが通用するのか,今までの技が通用するのか?その心配は始まってすぐに自信と確信になったと思います。2試合ともすべてにおいて相手を圧倒,また,小手ではなく飛び込み面での勝利は,新たな自分の剣道の可能性の扉を,己の力で開けたことの証明です。普段の謙虚な稽古での姿勢に,練習で出来ないことは試合では出来ないの言葉通り,稽古の内容がそのまま試合にあらわれた良い剣道でした。これぞN君の剣道!と言ったところでしょうか。

 交代のS君は急遽出場を決めたため,本人も戸惑いを感じたことでしょう。しかしながら,一拍子の面は一本と言っても良いぐらいの技でしたし,何よりも堂々と試合時間を使い切った内容に拍手です。あとは自信をもって試合に望めるように,自分の技を試合に持っていけるよう稽古をしてください。

 最後に会場が狭い中,応援に駆け付けてくれた保護者の方々,監督補助のAさん,各会場でお世話してくれた先生方,ご協力ありがとうございました。今回の結果に多くの課題と自信をもらった錬成大会でした。今後ともよろしくお願いします。
 また,遠方より応援に駆け付けてくれたI君のおじいちゃん。またの応援をお待ちしております。的確で厳しい目で叱咤激励をありがとうございます。またお会いする日を楽しみにしております。


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