春日部練成会 R6.4.6

 

 今回、春日部練成会をご紹介いただきました。当初は試合と聞いていましたが、練成会となり、この時期は、五日市練成会で数多く試合形式で経験を重ねていたところ、今年に入って冬休み中はどこにも練成会に行けず、このお誘いは大変ありがたい経験となりました。

 

 練成会団体戦は、高学年チーム2チーム、低学年チーム1チームが参加し、中学生は個人戦での参加となました。一日で約10試合を行う内容です。

 選手においては、日ごろの稽古で行っている課題を積極的に試して答え合わせをし、さらに新たな課題を考えるように指示を出しました。目先の勝ち負けはあまり気にせずに、内容について考える練成会としました。

 

 高学年Aチームは、KSISHA3選手です。

 先鋒のK君は、足さばき、竹刀の振りすぎ及び重心の移動に課題があります。今回、相手の出鼻に自分の竹刀を差し込むことができるのか、その場で打突するのではなく、半歩でも前に移動して打突できるのかに注目しました。全体を通してややオーバースイングな打突があるものの、しっかり前に出る意識は持っているようでした。得意の小手と担ぎ気味の面は良いタイミングでとらえており、竹刀軌道がやや右曲がりではあるものの打ち込みで十分修正ができると思いました。一歩で打突する速い面があるとさらに試合展開が楽になるでしょう。

 

 中堅のIさんは、課題の右手の握りが、やや硬いものの、中段の構えの左こぶしの位置が修正されてきており、打突は良い機会をとらえているので、安定した試合内容でした。特に目を見張ったのは、返し胴です。今までは面が主体の本能的な剣風でしたが、時たま見せる出小手や上げ小手は効果的に機能し、そこに返し胴が加わり攻めの剣道だけでなく、守ってからの逆襲の技が入り、試合展開に幅がでました。あとは胴を打突する際に、相手の前胴を打っているので、右横を打突できるように前で角度をつけて打てるとよいでしょう。

 

 大将のH君は安定した試合展開でした。逆に言えばもっと冒険してもよいかと思えるぐらいの試合内容でした。欲を言えば、速い攻めからのストレートの面を打ち切ってほしい印象でした。今のままでもそれなりに結果が出てしまうので、大きな技術的な変化は難しいかもしれませんが、やはり東京都で上位を目指すなら、強い相手に打ち合える技が必要と思います。

 

 高学年Bチームは、T君・TKさん・HHさんの3名です。

 先鋒のT君ですが、今回の練成会で一番成長を感じられました。周りの選手より入会が遅かったため、実戦経験に劣り、技術的にも理解が進んでいないため、まだこなしていない印象を受けていました。今までは、距離が詰まったら打ち、相手が打ってきたら避けの繰り返しで、単調な内容の試合が多かったところ、蒼鷹杯で受けたら返すことを覚え、今回は打ってくる相手に「先をかけ」打突することを課題としてしっかりと捉えることができました。特に後半の試合はまるで別人の展開と言ってもいいでしょう。積極的な飛び込み面は納得の打突でした。あとは、打突時に23歩前に足を使って相手に近づいてから振り始めるので、相手が近づいてきた瞬間に先に打ってきてしまうという新たな課題が見えました。体は大きくないですが、しっかりと前に踏み込んで打突ができる選手ですので、自分が打突する際に、足を継がず一歩で打ち切れると攻めの技がより効果的に打突できると思います。
 今回、確実に成長が見られた1日でした。

 

 低学年チームは、HK君、M君・KSさんの3名です。

 先鋒H君は、本日の練成会にあたり、当初は、あまり乗り気でない印象でした。しかし、試合内容は全力を出してしっかり自分の剣道をしていました。振り被りすぎる打突と走りながら打ってしまう点は大きな課題ですが、後半にはアドバイスを理解し、少しずつ修正ができ多様に思います。最後の2試合においては、1拍子の面がしっかり打てていました。そのため、充実した2本勝ちとなり、良い勝ち方を経験して、自分の剣道の方向性が理解できたのではないかと思います。

 

 中堅のM君は、今回結果を求められる内容でした。当たっているのに一本にならないのはなぜか。一本を認めてもらえる技は、どのようなものかを体験できました。また、右手押しの打突が目立ち、強く振ろうとすると左手肘が伸びなくなってしまうことも理解できたようです。左手主導の打突と、手の内での打突が最後の2試合でしっかり自己修正できていました。課題としては、抜き胴が自分の後ろで打突してしまうため、打突がなでるようになってしまいます。自分の前に剣先と物打ちを出して、前でさばけるように打突しましょう。胴で一本が取れると、さらに展開が楽になります。自分より大きな選手に返し胴を打てると技で対抗できるようになります。

 

 大将のKさんは安定した内容です。打突も後半に入っていくにつれ強さが増していくように感じました。女子で低学年に10試合は体力的にきついと感じますが、そんなハンデも感じない試合内容でした。あえて課題を言えば打突の際に両肘にゆるみがあることと、二段技や返し胴で一本を取ってくれれば、現時点でやれる最強の剣道と考えます。今後は自分より強い相手に打たせないこと、しのいで勝つことが求められます。

 

 中学生は個人戦です。

 3年生のH君は、自分の試合展開がわかっているようです。安定した間合いの攻めとタイミングで試合を組み立てています。課題としては、打突後に相手の手が届く距離で残心してしまうので、有効打の時に一本を決める残心が取れないということです。しっかり間合いを切って残心できれば、審判も味方に付くような打突都残心ができます。あとは相手がパワー系の選手の時に、やや苦手な感じが見て取れます。対抗する方法を整理してみてください。

 

 S君は構えた時の両足のきめが不十分に見えます。特に左足のきめが緩いので前後に足を移動して攻め合いをしている際、いざ打突をしようと動作を起こすと、一回左足を踏ん張ってからモーションに入るため、一泊打ち遅れてしまいます。前後に動く際の左足の使い方を考えてみてください。また、竹刀で相手の打突を避けた際に、必要以上に竹刀を横にするので、そこから返す打突の剣先が回ってしまい、遠回りの軌道となって打ちに行く状態となります。竹刀の軌道を確認してください。

 

 TH君は今回の練成会で、今までの剣道が通用しないことがはっきりと理解できたことと思います。体が小さいので、相手の手元を動かしてから技を打ちたい気持ちはよくわかりますが、全部フェイントからの技では、フェイントを入れる瞬間を狙われて打突されてしまいます。やはり一拍子の飛び込み技があってのフェイント技が有効だと思います。また、もしかしたら自分が一拍子の面を打突している意識を持っているかもしれませんが、そうならば、ビデオを確認して、打突前の助走や次ぎ足をしている状況を確認する必要があります。最後の試合は良い打突が出ていましたので、一歩の打突を確認してみてください。

 

 K君は剣道を見つめなおす時期に来ています。それまでの間合いでの抜きから間をずらして打突する攻めが良くも悪くも勝ちパターンとなっていましたが、展開が相手の打突待ちなので、自分からチャンスが作れません。団体戦では勝負に深入りしないのでしっかり引き分けてくれる「計算できる選手」ですが、勝ち切らなければならない状況では、局面を打破する力がありません。今回特に目立ったのは、間合いが届かない状況からの「突っかける技」が多く見られたことです。また、小手打ちも竹刀の軌道が縦振りの刃筋が通った打突ではなく、竹刀を回して裏から平打ち気味の打突が目立ちました。小手の打突のタイミングは悪くないので、刃筋を捉えた打突を考えてみてください。左肩が残ってしまう振り上げ動作も修正が必要です。右手からの押出の振りでは、どうしても右腕が曲がって余ってしまいます。素振りから見直してみてください。

 

 TF君は、今回の練成会で攻めのパターンが少ないことが分かったと思います。また、基本の振り被る打突と、小さく手の内で打突する打ち方を区別して打突する必要性も分かったと思います。間合いで自分有利にし、足で攻め、ためを作り、剣先で崩して打突することを稽古しなければならないと思います。また、相手の竹刀に対する攻めがありません。自由に相手の竹刀が振れるので、自分の打突のタイミングが相手と会い打ちになってしまいます。出鼻のタイミングをどうすれば打てるのか考えてみてください。竹刀の振り幅も要検討してください。

 

 N君は、今回あまり調子が出ない状況でしたが、それでも負け数を最低限に抑える努力をしていました。1年を通して調子のよい日は何日もありませんから、この調子が悪い日や普通の日に、どのようなパフォーマンスができるのかが、安定した試合運びを作ることになると思います。前半はやや間合いが近く、担ぎ技や振り幅の大きな技が目立ちましたが、中盤からはしっかり自己修正ができていました。レベルの高い内容の剣道が求められています。稽古に工夫をして、短い時間でもやれると思える内容の濃い稽古をしてください。

 

 中学女子は3名参加です。

 Tさんは、間合いでリズムをとって攻めるので、相手の状況関係なく、自分のタイミングで技を出してしまいます。そのため、届かない打突が多く見られました。また、相打ちになる機会も多く、展開は押しているのに、ラッキーパンチをもらうような敗退がよく見られ、勝ちあがることが上手ではない印象の選手です。
 特に剣風は迫力もあり、見どころがある試合内容なので、終始試合を支配している中で勝ちきれないことが大きな課題となっていました。今回女子3名は、間合いの抜きあいからの技ではなく、左足を止めて中心に割り込むことを意識した攻めを課題にしました。結果、間合い戦では間が抜けず、緊迫した攻め合いが見られ、中心を割った攻めがいくつも見られました。また、間合いがいつもより接近しているため、無理した体制が崩れない打突も多く見られました。この結果を受けて、自分の剣風を作っていく工夫が必要ではないかと思います。

 

 Iさんは、全体的に自分らしい剣道が出きていました。課題は、相手の状況に関係なく自分のリズムで突っかけて打ってしまうことです。攻め合いの中で自分が押し込んだり押し込ませさせたりして、打突の機会を作り出し、常に自分主体で試合が進行する状況を作ってもらいたいと思います。また、以前より課題であった、打突後のバンザイ姿勢がいまだに直っていません。今のままだと打突が下からこすり上げて当たっているような印象になります。審判の一本の判断に良い影響が出ません。審判が味方に付くような打突後の体勢を基本打ちの時に研究してみてください。

 

 Nさんは、打突力の軽さと攻めのバリエーションの少なさ、避けたら避けっぱなしの剣風に本人の確認が必要です。また、攻め合いも遠間でリズムをとっているだけなので、体に動のリズムはあるものの、攻めにはつながっておらず、また、相手の攻めに対して打って出たり間合いを切ったりしているため、主体が常に相手側にあることが問題となっています。そのため、相手が打ってくるときに合わせ打ったり、打ちたくないのに打って出たりと自分主導で試合が展開されません。足を継いで打突することはなくなってきていますので、1試合だけ見れた、速い攻めと中心に割り込む攻めや崩しを考えてください。

 

 今回の練成会は、4月の全国大会東京予選会につながる良い練成会であったと思います。朝早く春日部まで応援に来ていただいた、保護者の皆さん、お疲れさまでした。結果として、内容の濃い、失敗も成功も見られた練成会であったと思います。レベルも当会と同じくらいのチームがそろい、ちょうどよい相手と、10試合くらいできたことは、大きな経験でした。

 

 いよいよ、4月末から、令和6年度の戦いが始まります。皆さんと一緒に心を一つにして、新しい年の戦いを迎えようと思います。まずは全国の切符を手に入れる試合に集中していきましょう。

 

 今後とも、当会の活動に御理解と御協力をお願い申し上げます。また、今回Bチーム監督及び審判をしていただいたH先生、ありがとうございました。安心感と安定感がある堂々とした采配でした。また監督をお願いいたします。

 

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