五反野練成会 R7.5.5

 

 ゴールデンウィークの2日間で足立区五反野の足立高校武道場において、練成会及び個人大会に参加しました。埼玉越生のS先生のご厚意により、貴重な経験の場をご提供いただきました。今回の参加者にとって、新学年となり新たな課題が見つかる良い機会となった練成会でした。 

 今回、一番の成長を感じたのはTF君です。体幹も強く打突も強い剣道は強者相手に当たり負けしない印象です。これまでは経験のなさから試合では勝ったり負けたりを繰り返していましたが、最近は打突に際して、どのタイミングで打ったら良いのかの感覚をつかみつつあるように見えます。間合いが詰まるとただ打っていた状況から、攻め・タメ・崩しといった打つ前の重要性に気付いてきたように感じます。また、試合に臨む雰囲気も良くなっており、剣道に対する良い姿勢が感じられ、風格がでてきました。今後は、自分より強者と戦う際に、しのいで一本を取るような厳しい試合が予想されます。都大会レベルでベスト16や8ぐらいでの試合では、自分より実力の上のシード選手との戦いとなります。実力を発揮しても勝利が難しくなってきますが、それでも粘って一本を取り、勝ち上がる実力をつけてほしいと思います。そこに焦点を合わした質の高い稽古をしてほしいと思います。 

 N君は、今回の練成会を通して、やっと答えが見つかったのではないでしょうか。約1年もの間、何となく試合で結果が出ない状況が続き、剣道の内容が悪いわけではない、稽古を一生懸命やっているのに、良い感触がつかめず、結果も出ずに今日まで来てしまいました。

 打突に際して間合いが詰まれば先に打ち、相手が打ってくれば返して打つことはできてはいるものの、何か足りないように感じていたことでしょう。今回の練成会で一つ答えが出たように感じます。それは、「相手より早く打つ、先に仕掛けて打つ。」のではなく、「相手より早く技を打つ。先に仕掛けて技を打つ」ことが重要なのです。打ちと技の違いは当てる工夫・一本を取る工夫があるかないかと考えます。今まではタイミングと間合いで感覚的に打ちを出していたので、これを「技に変える」ことが一本への道となります。攻め・タメ・崩しを考え、「技として打突前に工夫」が欲しいものです。 

 K君は、試合内容は悪くないものの一本が全く取れません。相手が強いというよりは、自分の打突を外している印象です。打突回数が多いのに有効打突率が上がらないということは、その打突が当たっても一本にならない打突であるということです。基本打ちの稽古の際に、「打突音と打突強度」を確認しながらバランス修正が必要と考えます。

打突をしているときには守れないので、自分が一本を外していけば、その内に相手の相打ち技が一本となってしまうということです。アグレッシブな試合展開は評価できますので、当たったら一本になるように打突部位をしっかり叩く稽古をしてください。 

 T・H君は、自分の課題の答え合わせができたのではないでしょうか。感覚的に打突し当たれば勝ち、当たらなければ負けといった試合展開は、一か八かの攻防に感じます。特に相手の懐にもぐって打突する技は、今のままでは有効性が薄いと感じます。今回相手の打突の上に乗るようなジャンプして打つ一本打ちが効果的に決まりました。体の小さい選手が大きな面を武器にすると今まで当たらなかった懐に入る小手も相乗効果が認められます。動画を確認してその効果を認識してみてください。

 なお、左足首の負傷については、打突の際に左ひざを折ることが原因ではないかと考えます。通常懐に入り打突する際は、両ひざの重心を落としながら踏み込みをすることが一般的です。しかし、打突を横から確認すると、右ひざは踏み込みで突っ張り、左ひざのみが折れて、その体重が左足首に掛かるように見えます。稽古の際に中間間合いで両膝の重心を抜きながら踏み込み打突する方法を試してみてください。 

 E君はやっとスタートラインに立った印象です。それまでは試合に出れば良い、練成会に参加することが重要でした。今回やっと自分が考えて打突をして一本を取り、取られる経験をしました。スピード感のある打ちができるわけではないので、重要なことは、「どのタイミングで技を出すか」ということだと気づいたと思います。圧倒的な速さで相打ち面を先に振られてしまい、負けることが続きました。「先を取ることの重要性」に気付いたことと思います。しかし、出小手や時に見せる出端面は成功例の経験でした。多くの練成会に参加し、勝ち負けを経て、大切なことは間合い・攻め・タイミングであることを体現し理解したのではないでしょうか。同じ負け方から次の課題が見えてくるのではないでしょうか。 

 H君は中学生となり、今までのスピードに頼った感覚の打ちでは全く通用しないことが分かったと思います。中学3年生と1年生では体格に大きな差が生まれてきます。自分よりもスピードもパワーもある相手に対して何も考えずに真っ向勝負ではもう勝てませんね。大切なことは、「打つ前にある」ということです。相手が何をしようとしているのか、状況を見極め、自分がどのように技を出すのか、相手より早く打つ、先に仕掛けて打つのではなく、「相手より早く技を打つ。先に仕掛けて技を打つ」ことが重要なのです。打ちと技の違いは「当てる工夫・一本を取る工夫」があるかないかですから、タイミングと間合いで感覚的に打ちを出しては行けません。「打ち」を「技」に変えることが重要です。 

 IさんもH君とまったく同様の課題と言えます。その他に打突後の残心の状況が悪いことが確認できたと思います。特に小手を打った後にその場で止まる、又はかがむような状況となり、相手の後打ちや相打ちの面を打たれることが目につきます。小手が当たっていないわけではありませんが、その後に体当たりを受けてしまい、残心ができず不十分な技と判断されてしまいます。結果的に面を打たれているのでそちらが一本となる試合が目立ちました。打突後の位置取りや打たせない技術を考えましょう。

攻撃が一か八かになり勝率が上がらない、「勝つけれども負ける選手」のイメージがあります。また、技の数が圧倒的に少ない印象です。今回は小手面と返し胴を新たに使ってみましたが、稽古すれば実践で使えそうですので積極的に取得を目指してください。決まり技が飛び込み面に飛び込み小手と瞬発系の打ちが多いので、出小手や返し技など「相手を使う技」の取得によって勝負に奥行きが出ると思います。試合展開を考え、技を増やす稽古をする時だと思います。 

 Aさんは、助走をして打突する二拍子の癖やクロスステップで踏み込み、相手にぶつかって残心できない状態、さらに、打ちは出せるようになったものの技(当てる工夫)は出せていないことが動画を通して確認し、理解できたと思います。また、流れで不十分な引き技を多く出すので、相手に追いかけられて打たれてしまうことや得意の抜き胴や返し胴などを使わずに負けてしまうことなど、様々な課題が確認できたと思います。さらに、相手が、引き技で下がったり、間合いをきったり、抜けて行ったときに追い込まないのも大きな問題点です。相手が一番苦しい状況(打突を失敗する・引く)で、自分から間合いをさがり距離を作って構えなおすことは大きな問題点と考えます。

すべき修正点は多いですが、小学生から剣道をしている強豪の選手に対して当たり負けしない体幹や気合が良い点など評価できることも多く見られました。また、足首のステップに変えて、一拍子の出だしになったところは修正力の高さを感じます。多くの練成会に参加し、今年一年で経験値を上げて、試合に勝てるように稽古をしてほしいと思います。失敗を多く積み、成功につなげて稽古してください。 

 今回の練成会では、今まで稽古してきた、「相手が出るところに打ちを出す、出てくれば返す」といった状況では対応が難しいことが理解できました。これは相手選手のグレードが高いことが大きく影響を受けていると思います。相手選手は、「打つ前に当てる工夫」をしているので、自分が出て打つ際には引き出されており、先を取られている状況となっていました。また、中学生となり、パワー系やスピード系の選手が増えて、単純に体力勝負の試合展開も見られるようになり、体格的に劣る者が、どのように試合を展開すれば良いのかが問われました。しかし、今回の試合の決勝戦を見れば答えは明らかです。試合では確かに身体的アドバンテージは大きいですが、今回の優勝者は準優勝者が身体的に有利な状況の剣道をしてくる中でも、冷静に打突を差し込み、一本を取っていました。この成功例を示し、目の当たりにしているのですから、自分に当てはめて稽古をしてください。

 研究心を失ったところから衰退は始まります。自分のすべきことを把握し、課題を消化して、次の戦いに備えてください。他人の事をうらやんでも何の解決にもなりません。自分のすべきことをするだけです。その体で、そのスピードで、その打ちで、その気合で勝つ方法を見つけていきましょう。

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