第78回八王子市民スポーツ大会 R6.10.13
彼女ははっきりと私に言いました。「勝ちたい。一本を取りたい。」と、まっすぐに私の目を見つめてはっきりと意思を示しました。今までならば「頑張った。一生懸命にやれた。」といったことで自己目的を設定して満足をしていましたが、勝利への欲求は、自己の成長を現実的に示すものとして、目に見える形で表れました。
令和6年度の最後の全体大会として、今年も八王子市民スポーツ大会が、エスフォルタアリーナ八王子で、小学生からシニアの各部門に分かれて個人戦が開催されました。さて、昨年度は、要成館の選手が各部門で優勝を決める大会となり躍進の大会となりましたが、今年も大いに各選手の活躍が期待されます。
小学校1・2年生の部では、Tさんが出場しました。1回戦を緊張する中で、しっかりと2本勝ちして自分の剣道をすることができました。2回戦は実力のある相手との試合に2本負けとなりましたが、今できる剣道を披露できたと思います。トーナメントにも恵まれ、3位の賞状を貰うことができました。
どんな形でも、一つ結果が出たのは本人にとって励みになると思います。日々の稽古を努力するように頑張ってください。
3年生の部は3名出場です。
Kさんは3回戦まで勝ち上がり、あと一つでベスト4入賞でした。負けた試合も取られて取って、取られる内容に接戦を落とした印象です。このベスト8と4の間には大きな壁があり、この壁を乗り越えるには、日々の稽古の修練が必要です。稽古にしっかり参加することはもちろんですが、自分自身が剣道と向き合って、「求めて稽古をする。」ことが必要になります。問われるのは「稽古の内容と自主性」となります。
H・K君は優勝の期待をかけていました。試合内容にムラはあるものの、試合になると猪突猛進の良い剣道を披露します。彼もまたベスト8での敗戦でした。あと一つが勝ちきれない内容です。特に試合内容では圧倒していただけに、惜しい敗戦となってしまいました。稽古に参加しない自分の心の弱さがここに出てしまいましたね。才能だけでは勝てないことが分かったと思います。この敗戦で、日々の努力の大切さに気付いてほしいと思います。稽古しても結果が出るとは限りませんが、稽古しない者に結果は絶対出ませんよ。
K・Sさんは昨年度のチャンピオンです。当然本人も2連覇を狙っていました。普段の稽古もしっかり実施し、学年が一つ上がって剣道もしっかり進化させて、負ける要素が見当たらない状況でした。
1回戦からやや動きが大きく、打突も二拍子、特に小手打ちを外すことが目立ちます。両足荷重でのフットワークや手の内での速い打突を中心に稽古してきたのに試合で使うことができません。元に戻ってしまっています。それでも本来の実力を披露して勝ち上がっていきますが、残心の振り返りを打たれたり、万歳して避けている相手に面を打ち続けたりと、試合内容はあまり良くないように見えます。
準決勝戦も内容では圧倒していましたが、一本につながるような打突が見られず。延長の末、別れ際に面に乗られてしまいました。相手は単調に面・面と打突してきていたので、返し胴や返し面など自分が得意にしている技を使えば良かったのに、自分のリズムで前に打って出ることを選択して、相手の剣道を考えないで、単調なリズムで、自分の剣道だけを考えてしまいました。Sさんくらいの実力と経験値があるならば、相手をしっかり分析して技を出し、勝ちきる剣道をしてほしいです。それが「負けない剣道」につながると思います。
試合は相手がいるものですから、相手がどんな剣道をして、どんな技を打ってくるのかを感じながら、自分の試合展開を組み立てることができたはずです。自分の試合経験を有効に使ってしいと思います。稽古してきた間合いの詰め方やステップの仕方、竹刀の振り方や打突の方法、試合展開など、グレードが一つ上がったものを求められています。3位は立派な成績ですが、悔しい3位となったことでしょう。
4年生の部はM君1名の参加です。
体が小さく、毎年トーナメント相手に恵まれず、試合内容が良くても強豪者との対戦で1回戦敗戦が続いています。そのため、目に見える結果が出ないことが続いていました。本人には、決して剣道の内容が悪いのではなく、勝負の世界の難しさを諭しており、頭では納得はしてくれているものの、そこはやはり目先の勝利に飢えていることは明白で、合宿から練成会、日々の稽古の取り組む姿勢は、指導者として勝たせなければならない選手の一人であったと思います。
今回の大会に当たり、A先生が1年計画で指導案を作り上げ、身体的特徴やスピードとパワーに頼らない剣道で、どう勝ちきるかを考察し、今回、自信をもって試合に送り出すことができました。1回戦から稽古で実践した、小手や胴打ちを決め、間合いの作り方や返し技の出し方も稽古通りにできており、予定通りに勝ち上がりました。決勝戦まで行ってほしかったのですが、準決勝の相手は自分よりちょっと実力が上でした。それでも堂々の3位入賞に納得の笑顔でした。今回で一つ結果が出たので、このまま稽古を続けて、さらにパワーアップできるようにA先生に指導してもらってください。指導案には、まだ続きがあるようですので・・・。今後は自分より強い相手にどのように競り勝つかを考えて、次はもう一つ上に行けるように目標を設定してください。
5年生の部は6名が出場しました。
T君は日本武道館も経験し、練成会や合宿を通して成長が見られた選手です。しかし、1回戦良いところなく2本負けでした。この敗戦は深刻に受け止めなくてはいけません。自分の剣道を披露することなく、あっという間の2本負けは、剣道の試合では珍しくありません。学年が上がるにつれて、今後、ますます試合が厳しくなっていきます。
相手に近づいて間合いを不用意に詰めることや二拍子の振り、オーバースイング、打突前の攻めや崩し、相手を引き出すこと、一本につながる動作がないことなど課題は山積です。与えられた稽古をこなすだけでは結果は得られないと思います。自分以外の活躍がまぶしく見えるのなら、ここからどのように自分が立ち上がるのかを示さねばなりません。課題をもって稽古に臨んでください。
Tさんは上位入賞を期待した選手の一人です。日々の稽古もしっかり行っているものの、最近は試合結果がなかなか出ません。試合と稽古の内容が一致していない印象です。本来持っている攻撃的な出鼻面や出小手、返し面や返し胴といったバランスの良い剣道が試合で出ません。今回も、相手に攻められて受けては引き技を繰り返し、自分から積極的な攻撃を見せることがありませんでした。
勝っても負けても、自分の剣道を出し切ることに集中し、その上で新たな課題が見えてくるものと思いますが、今回のような敗戦では課題を得ることは難しいと思います。やや本番に弱いのか負けたくない気持ちが強く、思うように自分を捨てられないのか、いずれにしろ悪い試合内容が続いていることは間違いありませんので、次の試合までには自分の剣道スタイルをしっかり確認して試合に披露できるようにしなければならないと思います。実力もあり経験値が上がったからこその迷いならば、この敗戦を通して反省し、自身の剣道を見直す機会としてください。
Hさんもまた同様のことが言えます。昨年、同大会2位の選手ですが、今回内容は悪くはないものの勝ち方にパターンがなく、それでも持っている経験で何となく勝ち上がっている印象です。その飄々とした剣風こそが自分の特徴ともいえますが、圧倒する勝ち上がり方ではないので、相性が悪い相手には簡単に負けてしまいます。実力はしっかり出しているものの、逆に言えば、実力以上は出せない印象です。稽古は間違っていないと思いますが、試合で実力が出せる工夫は必要だと思います。まずは自分の剣道を固めて一本を取るパターンを作ってみて下さい。「自分らしい剣道とは何か。」を考えてください。
K・S君は強い要成館の選手が反対側のブロックに集まり順当で行けば決勝戦に駒を進めることができると思っていました。準々決勝で、同門のHさんと当たり延長の末、出鼻に面を貰ってしまいました。終始内容では押していたところ、決定力が不足し、頼みの小手も当たらずに決定機を逃した結果、競り負けるといったいつもの負けパターンとなりました。2分間フルに戦える集中力と、一本を取れる技の研究が必要と思います。剣道自体は悪くなかったと思いますが、結果として勝ちきれなかったことが今回も課題として残りました。勝負に、もしはないですが、ここを超えて決勝戦に臨んでいたら、おそらく優勝していたのではないかと悔やまれる敗戦となりました。
一方で、あれよあれよと勝ち上がったHさんは、剣道を初めてまだ1年とちょっと、今回決勝にまで勝ち上がって、自分の持っているセンスをあらためて自覚することになりました。最近では特練稽古でも居残り練習をして、1年遅れたスタートを取り戻すかのような稽古内容でしたが、声が出ない、打突が強く打てないといった課題が克服できないでいました。そんな中で、出鼻面と出小手に活路を見い出して集中して稽古し、実践に使えるようにしたことは良い結果が生まれる前提となりました。本来持っている返し胴と合わせて、試合を構成することができました。できることが限定していることが逆に今回は良い結果となったようです。ここから技を増やしていけるように稽古を続けてください。試合ではしっかり気合も出ていましたので、稽古でもしっかりと声を出した剣道をするようにしましょう。
O君は逆ブロックのライバルがいないトーナメントをしっかり勝ち上がってきました。唯一の技である出鼻面をひたすらに打ち続け、持ち前のスピードとパワーを生かした攻撃型の剣道を最後まで貫き通しました。返し面もアクセントになり、決して器用な内容ではなかったものの、パワーで押し切り自分の特徴を最大限発揮した試合内容であったと思います。3回戦からは相手のレベルも上がり、実力者との戦いでも面を取って勝ち上がり、堂々の3位入賞でした。
左ブロックに強豪選手が集まり大混戦で要成館の選手が敗戦していく中で、右ブロックでは要成館の選手がしっかり勝ち上がってくれました。あえて言うならば、この3位は、まだ強豪を倒しての3位ではありません。要成館の選手層は厚いので、常に切磋琢磨して、自分の実力を上げる努力をしてください。
6年生の部は2名出場です。
Iさんは実力も経験もあり、決勝戦に行くだけのレベルを備えた選手と思います。今回も1回戦から自分らしい瞬発系の技を繰り出して、勝ち上がっていましたが、3回戦で敗退してしまいました。負けた試合は確認ができなかったのですが、負けた理由は分かっているはずです。何が足りていないのか、そのためにはどんな稽古が必要なのかを考えてください。いつもあと一歩足りない結果です。
H君は今年3連覇のかかった大事な試合でした。1回戦からやや慎重な展開が続いているように感じましたが、それも負けない試合を作るためなのかと思い、特にアドバイスもしませんでした。ただ右手を捻り込むようにして横から打つ打突が多く見られ、調子としては、全体的には普通の出来といった印象でした。しかし、なんだかんだと言って決勝まで勝ち上がる展開は、さすがは実力者といったところを感じます。決勝戦では実力のある選手が対戦相手となりました。今までノーマークの相手選手ですが、さすがは決勝戦に駒を進める選手であり、決勝戦にふさわしい緊迫した攻防が見られました。延長も数度繰り返し、水入り後の打突で相打ち面を取られてしまいました。最後は横からあてに言った自分と、まっすぐ打突した相手との差が出てしまいました。先に掛けていれば引き出しての面でしたが、相手の技に乗ってしまいました。その分押し切られてしまいましたね。悔しい準優勝となりました。
中学生男子の部は2名出場。その他4名は中学剣道部からの出場、女子1名も中学剣道部からの出場です。
H君は3年生です。夏に中学剣道部を引退して、稽古も受験モードで参加できない中、中学剣道を最後に完全燃焼する試合となりました。剣道は急に上手くはならないが、下手にもならないことが証明された試合内容でした。自分の持ち味である出鼻面を主体に、出小手や返し胴、返し面といった技で効果的に試合を作っていきます。最後は実力者のN君と一本を取り合い逆転の負けに、あと一歩で決勝戦も見えた、今の実力を出し切った試合内容でした。納得の3位ではないかと思います。
中学から剣道を初めて体にも恵まれずパワーにも恵まれず、自分のできることを模索しての2年半であったと思います。都大会予選の個人戦では、あと一歩のところで代表権を逃し、悔しい思いが今日の試合につながったのではと思います。入会時に約束した、必ず賞状1枚を取らせるということが実行できて安堵しています。それも個人の努力と支えてくれたご家族の協力があってのことと思います。3位おめでとうございました。
N君は昨年小学6年生の部決勝において、まさかの敗戦を経験し、3年連続の優勝を逃したことを今回取り返しに来た試合となりました。1年生ながら稽古での研究心と妥協のない稽古は、すでにアスリートとして十分認めるところです。また、文武両道の見本となり、要成館において、一目置かれる存在であると言っても良いでしょう。
1回戦からレベルの高い速い小手打ちがさえていますが、あまりにもレベルが違いすぎるのか、審判が全く反応しません。それでも他を圧倒し、自分らしい剣道を展開します。決勝戦は苦手の体が大きな選手で実力もあり、どのような剣道をするのか注目しましたが、やはり相手のパワーに上から押し切られてしまいました。決勝こそ、速い小手と返し技を主体に相手を利用する剣道を見せてほしかったですが、真っ向勝負に行って玉砕してしまいました。まだまだこの辺に課題が見えます。それでも堂々の準優勝は立派に思いますが、ここで満足はできませんね。
その他、高校生の部1名、剣道部から1名、大学男子の部2名出場しましたが、内容については省略します。また、一般の部、シニアの部については、入賞者のご紹介をいたします。
一般男子の部では、上段のM先生が優勝。一般女子の部では、H先生が優勝と一般の部は要成館がダブル優勝となりました。おめでとうございました。
シニアの部では3名が出場しました。N先生が見事3位に入賞しました。おめでとうございました。
すべての部門の結果は以下のとおりとなります。
1・2年生の部 3位
3年生の部 3位
4年生の部 3位
5年生の部 準優勝
3位
6年生の部 準優勝
中学生男子の部 準優勝
3位
一般男子の部 優勝
一般女子の部 優勝
シニアの部 3位
となりました。当日朝早くから保護者の皆さんお疲れ様でした。また、前日準備にA先生とN先生お疲れ様でした。当日審判をしていただいたY先生、T先生、A先生お疲れ様でした。
今回の結果は予想したものとはだいぶ違う内容となり、試合の難しさが出た大会と感じました。勝負に絶対はなく、実力のある者が順当に勝ち上がる難しさを感じ、一方で、この一瞬に才能を開花するのを見ることができた大会であったと思います。良くも悪くも、次につながる大会となったと感じました。選手の皆さんは、自分の課題をしっかり捉えて今後の稽古をしてください。勝利に近道はありません。この冬場から来年の4月までは地力をつける時期となります。
12月には毎日レディース剣道大会、3月には蒼鷹杯と続き、来年4月には学年が一つ上がって、練成大会が行われます。目標をもって成長していきましょう。
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