八王子市民スポーツ大会 R5.10.8
 今年もエスフォルタアリーナ八王子で八王子市民スポーツ大会が開催されました。昨年度は、要成館にとって躍進の大会となりましたが、今年も各道場生が稽古してきた剣道が正しかったのかが問われる大会となります。

勝ち負けはもとより、礼法や試合態度、試合内容にまで結果を求めています。初心者は初めての試合となりますが、自分の剣道をしっかり出せるように期待します。

 さて、試合は1・2年生の部から開始されます。この部では、期待のKさんが優勝目指して戦います。最近では、低学年らしからぬ剣風に期待が持てます。

 今年度、積極的に試合をこなし、経験値も上がって、自分の勝ちパターンで勝負ができました。
 1回戦から格の違いを見せて順調に決勝戦まで勝ち上がります。相手は自分より格上の選手です。しっかり気剣体が一致した剣道で、双方とも素晴らしい試合内容です。延長も数回におよび、一度水入りのあと、さらに延長戦は続きます。最後は動きの鈍くなった相手に渾身の面が決まり、見事初優勝となりました。

 3年生の部では、君です。剣道はメキメキ上達していますが、結果が出ません。打突に正確性が欠けて、内容では勝っているのですが、勝負に負けてしまうことが課題でした。 
 
1回戦の相手は、昨年負けている体の大きな選手です。立ち上がりに注目が集まりました。しかし、懐に入ろうとしたところで、相手の出鼻の面が昨年と同様に決まってしまい、一本を先制される苦しい戦いとなりました。その後我に返ったのか、間合いやタイミングをつかまれないような足さばきが出て、惜しい技が何本も出ますが、決定力がありません。あっという間に2分の時間が過ぎてしまい、今年も剣道の内容では勝っているのに、試合に負けてしまいました。
 この1回戦の相手が優勝をしていることを考えると、決して自分の剣道が劣っているのではないことは理解できます。しかし、選手は、やはり勝ちに渇望しているので、できればこの1回戦が決勝の場であったらと残念に思います。
 結果は負けは負けなので、次に勝てるように、新たな課題で稽古しましょう。

4年生の部は、要成館次期レギュラーの面々です。
 T君は、他の道場生よりも後から入会し、やや試合勘が後れを取っていました。最近は剣道の勝負の難しさと楽しさを知って、順調に実力を伸ばしてきた選手です。課題である前に打っていく剣道はできているものの、効果的な打突の機会を作れません。また、打突のキレや強さも、そろそろ求められるところまできていますので、もう一度自分のやるべき課題を考えてみてください。

 K君は、剣道は良いものの、ここで一本というところで打ち遅れて相打ちになってしまって負けてしまうことが多いです。課題は先にかけて打突することです。
 順調に勝ち上がっていくものの、やはり返し面や抜き面に頼ってしまい、相手に主導権を与えてしまいます。負けた試合も延長戦から受け損じのように見えました。前に出る技を稽古しなければ勝てないことを改めて示された敗戦ではないでしょうか。

 Hさんは昨年から急激に成長した選手です。今大会では昨年2位の雪辱に燃えています。すでに心は同門対決の決勝戦でのリベンジでしょうか。

1回戦から最近ものにした左足を継がない出鼻面が効果的に出てポイントを取ります。準決勝の対戦相手は自分よりスピードもあり、苦しい展開となることが予想されましたが、相手選手の左足の継ぐ動作に的確に出鼻のタイミングを合わして、スピードのある選手に理想的な出鼻面を打突して堂々の決勝進出です。
決勝戦はさらに格上の選手との対戦です。全力で臨むも実力およばず、しかし、自分の今の実力を出した準優勝でした。

 Tさんは、昨年度の優勝者です。この優勝から波に乗り、東京都でもベスト16になるなど、着実に力をつけています。今大会でも優勝以外見ていません。しかし、勝負とは難しいものです。決して相手に劣ってもなく、打突も悪くなく、しかし、なんとなく時間が進み延長となり、決定力がないまま、ポンと打たれて気が付いたら負けている。
2分という時間の中、一本を先制しないと、取り返しがつかない負けが起こるものです。本人もこの負けに呆然とたたずむ姿が、今回の負けの課題を表しています。この負けをどうとらえるかによって次の勝ちに繋げてほしいと思います。

 5年生の部は初めて試合に出場する選手も多く、楽しみな試合が続きます。

K・Mさんは、普段から基本をしっかりこなし、やっと最近対人動作で一本を打てるようになりました。今大会では、まずは自分から一本を打って出ることが求められます。
立ち合いもしっかりできましたが、やはり一本を取るまでには至りません。しかし、やっと試合までこぎつけました。自分のペースで次は一本を取れるように対人稽古を続けましょう。

 K・Yさんは、稽古中に、時々ハッとする良い技が打てるようになってきました。本番でも練習通り打突できるかが課題となります。緊張もあったのか、頑張ったものの稽古の時の技が出ませんでした。しかし、この一歩は大きな一歩です。同じく自分のペースでまずは一本を取れるように対人稽古を続けましょう。

 Eさんは、不器用ながらも試合経験を積んでおり、本人の目標である、何とか一本を取ることが課題です。打突時に止まる癖はまだ直っていませんが、しっかり残心まで打ち切った技を出してほしいです。
 今回も一本は取れませんでしたが、確実に実力は上がっています。稽古では良い技が出るようになってきました。今回の敗戦に涙がなかったのも大きな成長と感じます。次こそ自分らしい一本を出せるようにしましょう。

 Iさんは昨年度2位の選手です。センスは抜群で、伸びやかで思い切った技を使い、調子に乗ると手が付けられなくなるくらい良い剣道をしますが、好不調の波もあり、今大会では着実に勝ち上がる実力が試されます。
試合は順調に勝ち上がるものの、内容はあまり良いとは思えませんでした。相手とにらめっこする時間が長く、お互いに消極的な剣道で時間が来ます。本人も負けたくない気持ちは理解できますが、返し面で守りの剣道に終始し、本人の武器である伸びやかな出鼻面は影を潜めました。最近は出小手も良く決まり、攻撃的な剣道がスタイルと思いますが、本番では守りの剣道になってしまい良さが出ませんね。
自分の剣道を、見つめなおしてみてください。

 H君は、昨年度優勝選手です。今年度は躍進し、東京都の強豪道場の選手と戦っても全く遜色なく、最近では自分のタイミングで技を駆使し、強い剣道をしています。八王子では実力が一枚抜きんでた選手でしょう。
試合内容も、しっかり間合いとタイミングをコントロールし危なげない内容でしっかり勝ちきり優勝しました。今後は東京都の強豪選手との戦いを視野に入れて、さらに厳しい稽古を求めるような選手になってもらいたいものです。

 6年生の部は役者ぞろいの面々です。
S君は、昨年度2位の選手です。技は少ないものの、昨年度は上昇のきっかけがつかめたような剣道で、特に従来の出鼻面だけでなく、出小手や返し面などに良いものが見れるようになりました。
試合は同門対決です。一本先取された後に、渾身の飛び込み小手を放ち一本と思われましたが、審判は全く反応せず、その後に一本を追加され、不完全燃焼の敗退となりました。同門で2回戦から対戦させられるトーナメントで残念ではありますが、もしそうでなかったらベスト4以上の選手だけに、ちょっとかわいそうな気がします。しかし、それも勝負です。今の剣道が間違っていないことは、自分自身も手ごたえを感じていると思います。このまま課題を持って稽古してください。

Kくんは、昨年度3位の選手です。今回は得意技に飛び込み小手を加え、グレードアップして昨年以上の成績を望んでいます。
しかし、結果は2回戦敗退と、爪痕を残せませんでした。自分の勝ちパターンを考えてください。左腰の開きや左手の位置、右手打ちの打突と課題はいっぱいあります。

 T・H君は、昨年度の市民大会以降、コツコツと自主練を行い、自分の剣道を模索しながら着実に実力を蓄えた選手です。特に東京都の学年別大会では、圧巻の試合内容でしたが、今大会で同じように戦えるか、実力が問われます。

2回戦で同門対決となり、昨年優勝のN君に良いところなく敗戦してしまいました。まだまだ自分の勝ち方が確立していないようで、相手と技を合わせてしまいます。自分の勝ち方を考えてみてください。

 T・F君は、経験値は一番ないものの、最近では要成館の大将を任せて、しっかり活躍する選手へと成長しました。大きな剣道は彼の魅力で、その出鼻面の力強さは最大の武器でしょう。今大会では、勝つことを求められています。
 2回戦の同門対決を制し、波に乗っての決勝進出。相手は3連覇をかけた同門のN君です。一本と言われてもしょうがないような技を何とかしのぎ延長にもっていきます。終了間際には惜しい面をだしており、延長戦に臨みます。ここで渾身の飛び込み面が当たり、見事優勝を勝ち取りました。今大会では、迷うことなく自分の剣道に徹し、小手面や返し胴など、日ごろの稽古に使っていた技を実践で使えるようにしたことが大きかったと思います。出鼻面は得意であることは分かっていますが、自分からしっかり間合いとタイミングを作って出す技は見ていて安心感すらあります。間合いの攻防も良く、優勝するにふさわしい内容であったと思います。

 N君は、2年連続の優勝者です。今年勝てば3年連続となり、その強さは要成館でも際立っています。常に稽古に全力で当たる真摯な態度と妥協しない稽古姿勢は他の道場生の模範であり、努力の力と継続の重要性を道場生の見本として示してくれています。彼の眼には優勝しか写っていないでしょう。
 決勝戦では、最近力をつけてきたT君です。体も大きく力も強く、思い切りのよい面は、自分にとって相性が悪い印象を持っていたかもしれません。時間内に先制できず惜しい技は何本かありましたが、延長戦となり一本を取られて敗退する試合は、強者の典型的な負けパターンです。
 この敗戦は必ず自分を強くします。自分の剣道を見つめなおすチャンスです。この負けがあったから、この次の勝ちがあるのだと自分に言えるように大きな教訓としてください。


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