76回八王子市市民スポーツ剣道大会 4.10.9

 昨年度は、小学校から中学校までの開催で行われた市民スポーツ大会ですが、令和4年度はシニアの部まで実施して完全再開の大会となります。
 その間、コロナウイルスは猛威を繰り返し、現在は小康状態であるものの、今大会でも入場制限や感染症対策を実施し、運営がなされています。
 大会は、小学生及び中学生は午前中の開催で、高校生以上は午後の開催となり密を避けた進行となりました。

 さて、小学生1・2年生の部には、3名出場です。上位入賞が期待されるだけに期待が膨らみます。

 2年生のM君は順当な立ち上がりから、自分より一回りも大きな体格の選手に果敢に攻撃します。打突力はまだ体が小さくないものの、タイミングよく的確に捉え、また、随所に抜き面や抜き胴といった技を出して自分のペースで勝負します。
  入賞をかけた準々決勝の試合も、延長戦から抜き面や飛び込み面を当てており、一本でも良いのではと思いますが、旗が上がらず、残念なベスト8となりました。対戦相手が優勝をしていることからも、この一戦に勝が拾えたら、おそらくは優勝をしていただろうという内容でした。このまま稽古を続けていけば来年はきっと大きな結果を得られることと思います。

  Kさんは今回、最も注目していた選手です。1年生ながら基本に忠実で正しい打突ができ、やる気も稽古に対する姿勢も、とても1年生とは思えない選手です。試合でも対戦相手が手打ちだったり、踏み込みができない選手が多く見られる中、気合い、打突、残心と完璧に決めて勝ち上がる姿は、日ごろの努力の賜物と思います。もしかしたら、決勝戦は同門対決かもと思ってしまうほど、同世代の中では剣風が良いです。負けた試合は相手選手が早い小手をポンと入れてくるのに、手元を上げて防御したため打たれてしまいました。防御だけではなく、日ごろから言っている「避けたら返す」を実践すれば、あの小手は打たれなかったのではと思います。試合を経験して、また新たな課題が見つかります。来年は勝つこと以外に想像できません。このまましっかり稽古してください。

 H君は今回一本を取ってくれればと思っていました。まだ稽古もむらっけがあり、集中して終えることが少ない中、負けに対する悔しさは人一倍の選手ですので、1回戦の戦い方に注目しました。
 相手選手も一生懸命打突して、同じレベル同士の戦いに、勝負はどちらに微笑むのか、意地の打ち合いが続きます。胴技に旗が一本上がり、飛び込み面にも良いタイミングが見られて、あと一歩の打突が続きますが、結局競り負け。いつも言っていますが「練習でできないことは試合ではできません。」今日の敗戦も、まさに普段の稽古が出た結果と言えるでしょう。日々の稽古を大切にしてください。

 3年生の部は、4名出場です

 T君は試合経験も少なく、まだ自信を持って試合には臨めない様子です。入会時には指導したことをすぐに理解し、現在も剣道の形が良く期待している選手ですが、絶対的な経験値と試合で使う技の練習が足りていません。今回もこの課題が克服する課題であることが浮き彫りとなりました。基本は良いので、ここからは応用に入って稽古していきたいと思います。

 K君は3年生以下の大将を任す気合の良い剣道をする選手です。今回はほかの2名との戦いになると思っていましたが、この3名の中では実力が一番で優勝に最も近い選手と思っていました。特に準々決勝の一戦は勝負強さを見せた試合です。自分より動きが早く打突も良い相手に、先に一本を取られしまい時間が過ぎていく中、終了2秒前に取り返しての延長逆転勝ちは、いつも言っているベスト8の壁を突き破る大きな一勝でした。また強敵に対して最後まであきらめずに戦ったのは評価できます。ただし、2分の試合時間で、残りの1分で足が止まってしまうことが今後の課題と言えます。ひたすら攻めてスタミナ切れの状態ですので、受けて返す、捌いて打突など攻防一体の展開ができると良いのではないでしょうか。第3位に納得はできないと思います。次こそはの気持ちをもって稽古してください。

 Hさんは面小手胴とバランスの取れた打突をオールラウンドに打てる選手です。特に今回の課題である回さない小手と手の内の利いた打突に注目をしていました。1回戦こそ慎重に試合を運んだものの、フットワーク良く、試合のたびに好調となり、気が付けば決勝戦をたたかっていました。初太刀の相打ち面は、ややHさんに分があるように見えましたが、旗に嫌われ残念でした。双方見ごたえのある攻防に、さすがは決勝戦といった内容でした。このまま課題を克服し、一本一本の精度をさらに磨き上げてください。手の内の冴えで打突できれば相打ちで負けません。第2位おめでとうございます。

 Tさんは試合前までは、なかなか一本を決める打突ができず、稽古でも常に課題を克服するため遅くまで残って自主練をしていました。自宅でも与えられた課題に取り組み日々努力をしていましたね。今回、強く振る面が素晴らしいタイミングで当たり決勝戦まで勝ち上がりました。決勝戦もその面がしっかり出ての勝利に、努力が実を結んだ結果となりました。今後は小手や胴も同じレベルで打突できるように稽古してください。力強い面でした。優勝おめでとうございます。

 4年生の部は2名出場です。

 Iさんは、稽古時に声が出なかったり、見ていないところで手を抜くことがある、ややむらっけのある選手という印象です。しかし、今大会前からコーチのNさんについて追い込んだ稽古をしていました。出鼻面には自信がありここを磨ければ十分優勝が狙えると思っていましたが、今大会では普段聞いたこともない気合の入った声が会場にこだましました。こうなれば結果はついてくるもの、次々と体格の大きい男子に、出鼻面や抜き面を浴びせて勝ち上がり、実力以上の剣道を披露することができました。いや、これが実力かもしれません。決勝戦も周りで見ている観客が「さすが決勝戦だな。気合も打突も違うわ。」と感心させっていました。日々の稽古でもこの気合いでのぞめば次は違う結果となるでしょう。稽古で出し切ることとはどういうことかを学んだ試合だと思います。準優勝おめでとうございます。

 H君は先に行われた道場対抗でも絶好調で強化練成会でボロボロにされていた経験が生きて、しっかり自分の勝ちパターンを作り上げた印象です。スピード感あるフットワークと打突は同年代では抜きん出ています。八王子市レベルでは小細工なしで勝ち上がることができるでしょう。今後の課題は都内の強豪チームの選手に競り勝つ、地力を身に付ける必要があります。ワンチャンスで決めきる正確さや打たれないディフェンス力など、さらにレベルアップして圧倒的な剣道ができるように稽古してください。優勝おめでとうございます。

 5年生の部には6名が出場しました。

 T・H君は辛抱の時、結果がついてこないことは本当につらいです。努力もして研究もし、誰よりも勝ちを望んでいることはよく知っています。攻撃型の剣道なので、相手との真っ向の相打ちになりがちです。体格や腕力が劣っている状況では不利に働くことが多くなり、必然的に負けることが多くなります。先にかける剣道も良いですが、もう少し守りの意識も持って良いのではないかと感じます。相手に一本を打たせない、打突部位に触らせないような防御から返し技や抜き技などに磨きをかけてみるのはどうでしょうか。その中から捨てて打つこともあると思います。常に真っ向勝負での面の打ち合いに、一工夫してみてはどうでしょうか。幸いA先生、Nコーチ及び私は返し技が得意です。しかも、それぞれ決め技が違います。参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。あきらめたらそこで終わりです。自分にがっかりしないでください。次は必ず自分の道が見える戦いができます。

 T・F君はやはり試合経験のなさが露見した内容でした。基本打ちのようにただ打突し、防御しても反撃せず、ひたすら二足一刀の間合いから面を繰り出していました。担ぎ面や飛び込み小手、飛び込み胴は惜しいところでしたが、単調な繰出しで今後の課題が浮き彫りとなりました。攻めとは・崩しとは・間合いとは・タイミングとは、すべきことが山ほどあります。すでにFちゃん強化計画の練習内容はA先生と確認済みです。次回稽古から実施していきますので、楽しみにしていてください。フッフッフッ!

 K君は自分らしい剣道をしていました。前半の戦いでは、積極的に打って出て、課題の下がらない、簡単に抜いて勝とうとしないことが実践されていました。しかし、勝ち上がり相手が強くなっていくと、じりじりと下がり始め場外に出たり、場外戦をしょっての苦しい試合が続きました。準決勝も先に一本取っての逆転の負けに、一本取った後の試合時間の使い方を学ぶ必要を感じたと思います。一本勝ちも二本勝ちも同じ勝ちです。相手に打突のチャンスをあげて取り返されるような展開はダメなんだと、今回身をもって学んだことでしょう。
 また、抜き面において右手をこねて当てに行く打突も微調整が必要です。上から面を叩けるように稽古してください。それでも、第3位は立派ですがこんなもんじゃ満足しないですよね。

 S君は今回大躍進の選手となりました。レギュラー争いも年下に負け、本人なりには一生懸命に稽古はしているものの、今一つ闘志に欠けて、何となくもったいない印象の選手です。
 昨年はあと一歩で入賞を逃し、今回は心に期するものがあったのか、試合前には居残りや特錬稽古に参加して大会に臨んでいました。しかし、直前の稽古だけでは急に技量は上がらないので、今回はその気持ちがのっかった試合をするだけとなります。それでもひたむきに面を打ち続けて、不器用ながらも一試合ずつ、勝ち上がりました。自分の可能性や限界をまわりの人や自分が決めてしまい、「どうせ俺なんか。」と勝てない言い訳を見つけていた自分を完全に否定するのには十分な勝利でした。この勝利が、まぐれだと言われないように、日々の稽古に取り組んでください。準優勝おめでとうございます。

 N君は昨年度の優勝者です。今年は二連覇をかけた戦いです。身体が小さいものの、技の理解が良く、テクニックで相手を倒していましたが、相手選手もさらに体が大きくなり、技の理解が深まって、自分自身のアドバンテージがなくなってきていました。そのため、今年の初めころから思うような成績があげられず、剣道に迷いが生じ、厳しい試合が続きました。ただし、本人は最後まで自発的に稽古に残って自主練をして、先生方にアドバイスをもらって研究しながら必死にもがいている姿をみんな見ていました。
 特に改善点である小手打ちは強化練成会において、良い形で一本を取りはじめて現状からの脱却を感じる機会となったように感じます。また打突の軽さも左手の使い方やふり幅の見直しによって改善され、力強い打突が見られるようになりました。昨年の同大会も危なげなく優勝しましたが、今年も他を寄せつけず圧勝でした。努力と研究心によって、自分の成長をあきらめない姿に、この結果は当然と言えます。優勝おめでとう。三連覇もよろしく。

 6年生の部は1名出場です。

 Kさんは剣道を始めて約1年、その間に試合に出たり強化練成会に参加したりと、やっと剣道のスタートに立った状態です。試合でも一本を取ることが目標であり、一勝は本人の大きな目標と言えます。
 昨年の対戦相手は優勝候補に何もさせてもらえず、秒殺の二本負け。今回は実力も上がり相手選手との試合内容も互角といった状況です。足がしっかりと動いて技と連動し、稽古で出していた抜き面をしっかり決めての勝利でした。課題の右手の握りは相変わらずでしたし、持つ部分も変なところを持っていましたが、当初の予定をクリアして、次のスッテップに臨めると思います。この一勝が本人にとってどのような影響を与えるのか、今後に期待します。

 中学生の部は4名が出場しました。中学の部活からのエントリーも多く、道場からの出場は4名となりました。

 F君は体も大きく手足も長く、基本の打突は合格点で良い剣道だと思います。しかし、試合に関しては、攻め・タメ・崩しといった理解が不足しているため、結局は基本打ちの打突しかできず、打突の機会や技の連動、間合いの駆け引きと、試合に勝つ基本的な理論を理解していません。そのため、勝負は思っている以上に結果が出ません。この状態が役2年続いており、自身も2年生となって残りの時間を考えれば、もう遅いくらいです。自分がどうなりたいか、稽古をどうとらえるか結論を出す状況にあります。

 K・Y君は中学の剣道にまだ対応ができていないようです。身長も高く、線は細いもののバネもあり、今後に期待がもたれます。返し技や小手技も器用に打ち、悪くない剣道ですが、中学生のスピードや技の工夫にはまだまだ追いついていないようです。特に手の内を意識した打突の切れや連続技の使い方、右手の握りの改善ができずに右肩が上がり右ひじも伸びてしまい、バランスが悪い中段の構えです。構えが悪ければ打突も悪くなります。基本の見直しが必要となります。

 K・R君はこの三年間、要成館の中学生の部の主力の選手です。全国大会の東京予選でも大活躍し、剣道にはまった3年間をこの大会で見せてくれるものと思っていました。しかし結果は残念なものとなりました。現役を引退したことを差し引いても、ここ一番での決定力不足と試合勘が戻らず自己修正もできなかったようです。中学でのキャリアは予想していたレベルを超えています。個人戦での勝負強さがやや物足りない結果でしたが、高校に行ってもまだまだ伸びしろのある剣道だと思います。次のステージでの活躍を期待します。

 K・Y君は中学に入り自分の剣道と向き合って、自分から求める剣道とは何なのかを3年間自問自答したように見えます。小学生の時も、決しておかしな剣道ではなかったですが、どこか積極的に稽古が続かず、まわりの期待もわかってはいるものの、結果として勝ち星につながらず。そんな状況ながら、少しずつ剣道に向き合うことができてきました。中学ではキャプテンを任され責任感も出て、チームを都大会に導き、それに伴って剣道も良くなっている印象です。今回の大会では、勝ち星に恵まれなかったですが、試合内容は地力がついてきたように感じられるものでした。一本の精度に課題はあるものの、攻守にバランスがとれており、自分の剣道をしている印象です。あとは勝ちに結び付けるための、必勝パターンがあると良いと思います。どの技も普段点以上に打てるので、この技といったとびぬけた技が欲しいですね。審判の心をつかみ、相手の焦りを呼ぶような圧力ある技が欲しいですね。次のステージでも頑張ってください。自分で求めて剣道をこのまま続けてください。

 高校の部は2名出場です。

 今回K君が要成館に帰ってきました。私立の強豪校に単身乗り込み、男の修行をして無事に高校剣道生活を終えてのエントリーです。ダントツの優勝候補で試合を勝ち上がり、高校での修行の成果を勝利という形で表現していました。準決勝でまさかの敗退に残念感と詰めの甘さが出てしまいました。悔しい3位入賞となります。切腹です(笑)

 大学生男子の部は2名出場です。

 I・Y君はすっかり剣道が楽しくなって、勝負の世界の扉もちょっとのぞいた感じとなっています。剣道は基礎の沿った正しい剣道をします。経験値で試合の剣道をしていないため、勝ちに恵まれませんが、試合に挑戦する姿勢は成長を感じます。大学の剣道部との試合で、決して楽な内容ではないことは、本人が百も承知のことですが、臆せずに挑戦する姿に本人の剣道に対する修行の捉え方を感じます。
 試合内容についても、試合経験が少ないことを感じさせない展開に、実力もしっかりついている証明となった試合でした。あとは勝つための工夫が課題となりますが、むしろ勝敗にこだわらず、大きな剣道をしてほしいと感じる良い内容でした。

 M君は、う~ん。悪くはないけど、大人の剣道にかわる転換期に来ているような気がします。もちろん、まだまだ試合に飢えて挑戦をしていっても良いのですが、現在の環境を考えると、今後どのように剣道を生活の中に捉えていくのか判断しなければならないのではないかと思います。マイナーチェンジが必要ですね。

 一般の部及びシニアの部については、今回はコメントなしです。自分の修行を続けてくださ。あしからず。

 今回、要成館の選手の結果は、他を圧倒する素晴らしい結果となりました。入賞者がなかった12年生の部と6年生の部も来年度は十分期待ができ、すべてのクラスで入賞を狙えることとなります。
 この結果が出たということは、理由があると思います。選手が週1回の稽古に集中して臨んでくれたことはもちろんのこと、保護者が選手に経験をさせたいと、選手の可能性を信じてマイクロバスをレンタルして寄居まで遠征したこと、練成会では、全員ボロボロにやられて、その中から何か課題や目標を見つけて、次の五日市練成会に挑み、またボロボロにやられ、それでも折れない心で日々の稽古に邁進しました。週1回の稽古で勝てる訳ないという人がいます。しかし、現実に我々は結果を出しています。
 
選手・保護者・指導者が三位一体となって進んだ結果の勝利であると言えます。このどれもが欠けても今回の勝利はなかったのではないかと思います。

 勝って兜の緒を締めろと言います。慢心は我々にはありません、今回の勝利は要成館関係者で掴んだ大きな勝利と思います。子供の可能性を信じ、子供も自分の可能性を信じて稽古する環境に、更なる飛躍を確信しています。
 今年度の大会は一通り終了しました。来年の4月まで、自力を上げる稽古をしていきます。地道な稽古が続きますが、ここを正しく越すと来年の大会で結果が出ます。八王子の大会で結果が出るのは予想していました。我々が勝負して挑んでいるのは、東京都の強豪チームです。まだ超えられない、あのチームに一矢報いる戦いを挑みましょう。そこに挑んでいきましょう。


 まだまだ、こんなもんでは満足できませんよね。皆さん!

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