毎日レディース剣道大会 R4.12.11

 女子の大会として、日野市で行われる「毎日レディース剣道大会」が日野市市民のもりスポーツセンターで開催されました。

 小学生2名・中学生1名の3名による団体構成で、午前中に行われました。1回戦の相手は、栃木県の「おもちゃのまち剣道会」です。全国大会の常連団体であり、厳しい戦いが予想されます。当会の小学生の構成は、先方に3年生、中堅に4年生を選出し、大柄な6年生の選手が目立つ中、体格的には苦戦が予想されます。

 先鋒はHさんです。少し緊張しているのか、声が出ません。ペースをつかむ前に、不用意に小手を打たれます。あっという間に一本を取られてしまいました。その後はエンジンをかけたのか、惜しい飛び込み小手が出ましたが、2分間では挽回できず、さらに一本を献上しての二本負けとなりました。

 中堅は、最近練成会で力強い打突を打つことができるようになって、攻撃力が上がり、結果を出してきているSさんです。出鼻面に良い結果が出ており、最近では打突を余して面、抜いて面といった技も打てるようになり、技の広がりも出て、自分の剣風が、まとまり始めているようです。ただし、少し緊張しすぎて実力が発揮されないことが課題です。

 試合内容は、Sさんの方が実力は上に感じましたが、ここでも硬さが見られてしまい、いつものような伸びやかな面が出ません。苦しくなると抜いて打とうと下がってしまい、相手に強く攻められ、さらに後ろに下がる展開で、ますます試合内容が作れません。竹刀の握りもおかしくなり、後半は全く竹刀が振れない状態となりました。ここまで崩れてしまった剣道を初めて見ましたが、先鋒の負けを取り返さなければならない状況の中で、チームの負けを決めてしまう二本負け、取り返すどころか自分の実力が全く発揮できない内容の敗戦に大きな課題を持って帰ることになりました。

大将のTさんは、自分の剣風を模索中で、勝ち方もまとまりつつあり、少しずつ結果を出してきています。今回も強い相手の大将に挑みますが、手元が浮いたところに早々と小手を打たれます。取り返しに行ったところで相打ち面となり、旗が割れましたが相手に一本となり、二本負けとなりました。あとで動画を確認したところ、先に当てているのはTさんでしたが、打った後の姿勢や残心が明らかに相手の方が良く、どちらに優劣をつけるとするならば、やはり相手の面に旗が上がってしまうと思います。この相面での負けを繰り返さないことが課題なので、しっかり論理的に捉えて、打突前の攻めやタメを理解して、残心までの一本を決める形を作り上げてほしいと思います。

 成人の部は、要成館の試合に初めて参加する先鋒のNさんです。高校から剣道を始めて、真面目にコツコツと稽古をし、今回初めての団体戦の参加となりました。

 相手チームは「国分寺剣友会」です。先鋒から大将まで学生時代に強い選手の名前が連なっています。先鋒戦は戦前から実力差があることはわかっていたので、Nさんがどのような剣道でそれでも戦うか注目されました。Nさんは、相手の圧力にも負けず、前へ前へと間合いを作り、気合十分の内容でした。小手に対して面をかぶせるなど、惜しい技も見せて今できることを一生懸命やっていました。その後も23発と惜しい技が出て良い内容だったと思いますが、そこは実力の世界、充実した二本負けとなりました。負けて晴れ晴れとした笑顔に、今の実力を出し切った試合で、「楽しかった。」と満足した内容であったようです。相手選手もしっかり胸を合わせてくれて、Nさんの剣道を引き出してくれました。さすがは一流の選手です。負けて良い内容を作ってくれました。

 中堅戦は実力者のA先生の登場です。他の強豪チームからの誘いを辞退し、初陣の先鋒Nさんのため要成館からの出場を決めてくれました。先鋒の二本負けを取り返すべく開始早々に仕掛けます。速い攻めから間合いに入り、積極的な打ち合いに持ち込みます。やや力みがちで竹刀が部位を捉えていないものの、相手方実力者の選手に反撃の隙を与えません。

 試合時間が刻々と進む中、惜しい小手があり、渾身の出鼻面も部位を捉えずに引き分けとなりました。相手は先鋒の二本勝ちを貯金として持っており、無理な打ち合いをしないでしっかり引き分けに持ち込むところは、試合の流れを知っている実力者といった感じで、さすがは西東京を代表する選手でした。

 大将は、オーバーエイジでH先生にお願いしました。西東京の大会にも積極的に参加して、充実した剣道生活を送っている選手です。

 相手選手は、西東京では常に優勝候補となる実力者、現役の剣道で挑まれるので、いかに間をずらすのか注目していました。序盤から相手の圧力ある攻めが見られ、厳しい技を打ってきますが、持ち前の間合いの良さを生かして相手の打突を紙一重でかわしていきます。焦れた相手が強引に間を詰めてくれば的確に出鼻面に乗り、相手にリズムを作らせません。

 試合中盤に一本を取られたものの試合時間を使い切り、自分の剣道で勝負した立派な試合内容であったと思います。すでに一本取っているので、深追いをせず充実した剣道は、見ていて感心しました。どんな相手にも自分の剣道を崩さず戦いきる剣道を勉強させてもらった内容です。

 女性の社会進出が声髙に言われているとは言え、まだまだ女性が剣道を継続的に行う状況は確保されていないと思います。しかし、令和の時代の剣道界は、女性の活動なくして成立しない状況です。女性特有の結婚・出産等、剣道を継続的に続けていく環境が整わないことが多く見られる中で、この「毎日レディース剣道大会」は女性限定の大会として大きな存在価値がある大会です。全国から参加者が訪れ、熱戦が繰り広げられます。参加選手も全日本選手権出場者から、警視庁、実業団、大学や高校のOGでチームを組むなど、様々な顔ぶれが見て取れます。また、参加選手も選手権者の末永選手や学生チャンピオン等、非常にレベルが高い大会でも知られています。しかし、会場内は真剣みのある緊張感の中にも穏やかな空気が流れ、男子の大会とは違った華やかな雰囲気を感じます。

 要成館も女性の剣士が多く在籍し、結果を出しています。それ以上に、子供と一緒に剣道自体を楽しんでいる様子が認められます。「求める剣道」として、令和の剣道のあり方について、ますます女性の活躍を感じられる大会でした。


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