第20回東京都少年学年別剣道大会R3.7.17

 令和3717日(土),東京武道館にて,学年別少年剣道大会が開催されました。

コロナウイルス感染症拡大の真っただ中,緊急事態宣言も継続された中での大会の開催で,試合に参加することへの判断が難しい選択でしたが,約2年間の間,対外試合をしない状態が続き,稽古自体も何とか継続した活動ができている状況を鑑み,参加することとしました。

 2年間大会がなかったことで,今回の大会が錬成大会デビューの道場生も多く,久しぶりの錬成大会出場となって,身が引き締まる思いです。また,本来ならば錬成大会に照準を合わせて試合稽古で仕上げていくところ,コロナの影響により稽古不足は否めない状況に,この大会参加がどのような状況となるか想像がつかない状態での大会参加となりました。

大会運営については,いわゆる「3密」を避ける工夫がされ,座席は指定制,進行については小学1年生から4年生までと,小学5・6年生の部の二部制に分かれていたため,必要以上に早く会場に来て場所取りする道場もなく,入場に際しても少人数のグループに分け,検温及び消毒が徹底されて整然と入場することができました。

 また,通路にシートを敷いて場所を取ったり荷物を置いたりすることもなく,試合に関係ない学年の選手や保護者が会場の中にいないので会場の空間も広く,観客席においてもしっかりと距離が保たれ,コロナ対策での処置とはいえ,いつもこのように大会を運営してほしいと感じる状況でした。

 試合においても,監督証をつけていない者は会場内に入れないので,通路も混乱なく,移動も楽であり,何より選手が掲示番号を見て自発的に面をつけ順番を待つことができ,剣道大会の今後の可能性について示した大会と感じました。関係者の苦労には頭が下がります。

さて,試合内容と言えば,今回初陣のT兄妹です。会場の雰囲気にのまれずに,今できることを披露することを目標に,立ち合いから一本目の打突を打ち切ることに集中して試合をしてもらいました。立ち合いも正しく出来たと思います。

 妹のKさんは,初めて公式戦デビューを果たし,面一本をしっかりと決めて結果を出しました。そのあとも優勢に試合を進めていましたが逆転負け,涙のデビュー戦となりました。

 兄のH君は普段の稽古のどおりの飛び込み面が出れば,一本が取れると思っていましたが,初試合に緊張したのか,本来の動きがなく,見せ場を作れない試合となりました。

 最初の試合はドキドキが止まらずこんなものです。普段言っている通り,稽古でできないことは試合ではできません。試合でできるようにするために普段の稽古において,試合のように稽古することが大切です。この経験が必ず次に生きてきます。頑張りましょう。

 小学4年生の部に出たN君は本日絶好調でした。いつもなら小手を拾いたがるところ,今大会においては出鼻面を有効に使い,小さい体ながらもしっかり足を使って,先にかけた素晴らしい面を決めていきました。結果ベスト8まで勝ち進み,準決勝も惜しい技が出て見ごたえのある試合内容でした。最後は一本負けとなってしまいましたが,堂々の敢闘賞を獲得しました。準決勝戦の内容は紙一重の戦いで,今回は残念ながら3位に手が届きませんでしたが,今後に期待したい内容でした。負けて反省し,研究し,稽古して強くなると思います。次はきっと勝つと心に決めて稽古に励んでください。

 午後からは,小学5・6年生の部が開催されました。要成館の主力が出場と期待しました。特にK君とTさんには,試合経験が豊富で求められるのは結果であるということ,自分の普段の稽古をしっかり出し,勝ち切るように指示し,彼らがどのような試合展開をするのか注目しました。一方で,今回がデビュー戦となるK君とIさんには,まず一本を取ること,そして,自分の剣道をすること,時間を使って試合を楽しむように指示しました。

 経験者の2名は,結果としてK君は積極性なく判定負け,Tさんも良いところなく2本負けの結果でした。特にK君は良いところでもあり課題でもある,飄々とした剣道で,山場を作れず,自分自身もわかってはいるものの気魄を出すということについて,改めて考える機会となった敗戦と思います。判定試合では不利な印象です。延長になったときに勝負に出ない積極性のなさに改善点が求められます。

 Iさんも同様に淡々と試合が行われて,もう少し気持ちが前面に出るような試合運びを考える機会となった敗戦と思います。

 2名とも剣道は悪くないですが,試合において自分を出し切ることの難しさ,勝負に対する執念など,求められることや課題が明確な壁となって自分の成長に待ったをかけています。ここを突き破れば,強い選手となるでしょう。自分を超えるのは自分しかありません。課題をとらえたなら,それを反省して研究し,克服するしかありません。稽古あるのみです。自分がどんな選手になりたいか,目標をどこに設定するのか,自分をしっかり見据えて稽古してください。

 初心者のK君は1回戦2本勝ちの殊勲。しっかりと稽古で練習した飛び込み面を決めきることができました。2回戦は引き際に追い込まれて面等,攻めの作りの遅さや,先に対する攻めの意識がなく,悪い負け方でしたが,たった2試合でも大きな宿題を持って帰ることができた良い経験になったと思います。

 Iさんは課題である一本を取ることができました。出だしビビッて手が伸びず,打突も中途半端な感じでしたが,徐々に体も動けるようになり,取り返してからは,いつ一本を取ってもおかしくはない惜しい技が何本も当たり,旗一本が2度もありました。結果は2本負けでしたが,どうして旗が3本上がらないかの自己分析もしっかりできており,次回の稽古ではその宿題をもって稽古をしてくれると思います。

 剣道の試合に出ると,普段できたことができないことが良くあります。全く知らない相手にどのよう自分らしいパフォーマンスを見せることができるか。負けから宿題を見つけ,反省し,研究し,稽古で試し,新たな課題を克服し,また試合に出るといったことの繰り返しです。

 試合1回は,稽古10回分くらいの価値があります。大切なことは,その負けた試合で,何を課題として持ち帰って,どのように克服し,次に臨むかということです。今日の敗戦を次回の自分の勝利につなげられるようにしてください。

「勝ちに不思議な勝ちあり,負けに不思議な負けなし。」です。

 次は8月のエスフォルタアリーナ八王子で行われる団体戦及び個人戦です。梅雨も明けました。暑さに負けず気合を入れて稽古しましょう。

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