第47回東京都道場少年剣道大会 (H29.5.14)

 平成29年5月14日(日)、エスフォルタアリーナ八王子において、東京都道場少年剣道大会が盛大に開催されました。
午前中には個人戦、終了後は団体戦と、審判の先生方にはいつも感謝しております。

 今回の大会より要成館には2つの新たな課題を選手と保護者の皆さんにお願いいたしました。

1 場所取りを行わないこと
2 自分の試合が終わったら、チームの応援をすること

 一時間も前から体育館の前に並んで席を確保するようなことはやめようというもので、要成館は、この席取りレースから、積極的に参加しない姿勢を示していこうというものです。
 最悪、通路等に空きもあるので、用具が置けるスペースを確保できれば良いので8時半開場に合わせて集合をお願いいたしました。
エスフォルタアリーナ八王子は座席数も多く、席の確保が見込めるので、今回はテストケースとして実施しましたが、結果場所も取れて、用具も置けて、良い状況が確保できたようです。
 大会に行きますと、椅子の上に防具袋が座って、人は立っている奇妙な光景を目にしますが、各団体が少し利用を考えれば、十分な座席を確保できるはずです。今後の課題ではないでしょうか。

 もう一つは、要成館は強豪チームではないので、各自が試合を終えると緊張感から解放され、試合以上にはしゃいで遊びまわる者が目についておりました。
みとり稽古もせずに追いかけっこやゲームをし、お菓子を食べている姿を見て、このままではいけないと判断いたしました。
その為、この大会から、試合が終わっても、残っている者の応援と、みとり稽古をするように指示を出し、保護者の皆さんにも、子供たちに指示してくれるようにお願いいたしました。
 先輩たちの活躍を見て良い刺激を貰ったのではないかと思います。また、強い他道場の子供たちの剣道を参考にできたのではないかと思います。

 さて、試合について、述べたいと思います。

 午前中の個人戦では、だいたいの選手が、3回戦くらいまでは勝ち上がったようです。その中でも印象的だったのは、団体戦メンバーから外れたK君です。
相手に恵まれたものの、課題である自分の剣道を披露したようです。強く振ること、技を積極的に出すこと、何うよりも気合いを出して勝つ剣道をすることが求められていましたが、ようやく地力を発揮しました。とても良い剣道だったと思います。

 中学女子に出場のNさんは素晴らしい剣道でした。1本勝ちで勝ったことも素晴らしいのですが、その内容が抜群です。手足の長さを生かした出鼻面は素晴らしい技前でした。
強い相手に一歩も引かず、堂々の剣道、途中膝が割れる悪い癖が出たものの、すぐに修正し、勝ちきる剣道は経験者の風格でした。勝って騒がず、負けて悔しがらず。相手を尊敬する礼の心に剣道の素晴らしさを私に再認識させてくれました。

 1回戦で負けてはしまったものの、T君は一皮むけた剣道でした。ゼンマイ仕掛けのロボットのように相手関係なくボカボカ叩き回り、挙句には場外に飛び出て興奮状態で自分を制御できない剣道を繰り返し、常に課題を克服できないで今日にいたってました。
 今日の相手は、なかなかの強豪。着付けも良く中段から気合も様になって、足さばきも打突もなかなかの選手。これは荷が重いかと観戦していると、中段を合わし、負けない気合、さらには飛び出さずにじっくりと相手を見据え、相手の打突にすりあげ、時には返し、無駄打ちの無い玄人好みの試合に、あっという間の試合時間2分が終了、延長2分も使い切っての旗判定、先にかけた相手の剣道に旗3本での負けでしたが、今回の大きな収穫であったと思える良い試合でした。強い相手にも恵まれて、胸を貸してもらえるのが、この錬成大会の良いところです。よき相手に触発され、大きな成長を手に入れたようです。

 団体戦では、何と言っても初陣4年生以下のBチームです。
腕自慢の子供たちが集まる錬成大会に出すにはちょっと早い感じですが。地の利もあり、今回は無理をして参加してみました。当然勝ちを求める試合ではなく、貴重な経験をするための第一歩と考えておりましたが。やはり良い相手に恵まれると実力以上の内容が見れるものです。
 先鋒のYさんは女子で、体も小さく相手に押し込まれていましたが、当て感が良く、良いタイミングで見せ場を作りました。引き面は一本でもよかった技でした。
 次鋒のFさんは得意の返し胴で惜しい打突を連発し、粘りの引き分けと結果が出た剣道でした。
 中堅のSさんは期待の選手、もしかしたら一本取るかなぁ、と考えていましたが、力んでしまい本来の力が発揮できませんでした。試合の難しさを経験できたのではないでしょうか、次に大いに期待したいと思います。
 副将のF君一本を期待できる選手でした。相打ち面に確かな打突がありましたが、残心と気合にもう一つ切れがなく、審判を納得させるまでに至らなかったのは残念でしたが、確かな手ごたえを感じたと思います。
 大将のI君は、堂々と声を出し、相手に逃げることなく向かって面を出していました。手足がバラバラでまったく実力が出なかったものの、打たれたとはいえ、あと打ちの面もしっかり打ち切った内容に、審判の止めの声すら聞こえないほど集中し、全力を出し切る姿に、大将としての風格を見せてもらいました。

 今回は勝てませんでした。そして、一本も取れませんでした。しかし、この次はさらに進化した自分がいます。試合の難しさも、一本を取る難しさも経験しました。

 ここから君たちの剣道が始まったのです。正しい剣道を実践し、次につながるように稽古してください。


 団体戦4年生以下のAチームは課題を残した結果となりました。気合い不足。自分の剣道ができずに、ずるずると負けを積み上げてしまい、惨敗でした。もしかしたら、2・3回Aチームは勝つかもしれないと思っていた自分に、冷や水をぶっかけられたような内容、剣道の難しさを実感しました。
 経験も技術もある選手たちが、次々に負けてくる状況に、各自が今回の敗戦をどのように感じて、どのように生かすかが問われる試合だったと思います。

 勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。

 小学生Aクラス団体戦は素晴らしい剣道でした。課題である応援体制もしっかりとできて、先輩方の剣道を見れたこと、何よりも強い相手に実力以上を出し切って勝つ瞬間を共有できたことは、今回の最大の収穫といえます。

 1回戦下北沢剣道教室「参の会」、2回戦蔵脩館金王道場と対戦し、順調に勝ち上がり、3回戦に名門東京修道館との一戦を迎えました。

 先鋒はN君、相手の先鋒は勢いよく、ポイントゲッターといった感じの選手。先手を取らせないためにも、しっかりと相手を見極めて自分有利な状況を作って試合を運んでほしいところ、深入りせずに引き分けでも良しとする作戦でした。結果は内容的にも押しており、行かせれば一本取れたかもしれない試合運びでしたが、審判に流れを持ってくるには十分な内容でした。このスタートが次の試合の流れを決めたと思える重要な試合となったと考えられるのです。

 次鋒はNさん相手は先鋒で取れなかったので、早めに一本が欲しいところ。開始早々、面に飛び出してきたところに出籠手を一閃!相変わらず気合も残心もなく、「あぁ~もったいない。」と思った瞬間三本の旗が同時にパッと上がり一本となりました。まさに先鋒が作った流れのおかげで、審判の目がこちらを向いてくれた判定だったと思います。

 中堅はH君、次鋒戦の一本勝ちをさらに上乗せするべく、最初から勝負に出てきっちりの勝利!さすがは八王子チャンピオンです。その内容には風格さえ漂います。剣道はちょっと重い感じですが、勝ち方を知っている良い剣道でした。

 副将は大抜擢のT君、本来は先鋒を任すことの多いT君ですが、今回は初の副将。今日の大会で一皮むけた剣道は、団体戦にも健在でした。負けてはしまったものの、内容が良い剣道でした。

 ここまで2勝1敗。いよいよ勝負の大将戦です。

 大将のS君は最後までレギュラー入りの試合で決まらなかった一枠をもぎ取った選手。今日は個人戦でも強豪選手を倒して絶好調の様子(本人は理解していませんが)、この大将戦でも得意の剣道を見せてくれました。
 一応、引き分けで本数勝ち、一本負けでも代表戦であることを指示し、有利な状況での試合なのですが、本人に私の声は届いているのやら?さすがは相手の大将も二本を取りに来ていて、激しい攻めを見せます。代表戦を考えてN君とH君に指示していたところ、

「バン!」

と衝撃音が耳に届き、それを見ていたA監督は「うわ~。」と悲鳴ともおたけびともとれる声を発し、「え?何?」と聞きながら振り返ると赤に旗三本?「・・・・?。」「何だ?どうした?」と問うと、「出鼻面当たった(笑)」

マジでかぁ~!

 いよいよ二本目は相手も激しい猛攻で、燃料切れでヘロヘロのS君に襲い掛かります。応援団の祈りにも似た声援と悲鳴が交錯し、こりゃ取られるなぁと思った瞬間にあの得意技、籠手すりあげ面がさく裂したのです。

うお~・・・・・・・!

 歓喜の声と今度は嗚咽が絡み合い、訳の分からない応援団(笑)とうとう勝利を手にしたのでした。

 ここまでくると東京都のベスト16、まわりも名のある強豪チームばかり、次の相手は西東京に敵なしの昭島中央のBチーム。Bといっても圧倒的な勝率で勝ち上がってきたエリート集団。さて、要成館のAチームはどんな戦いを見せてくれるでしょう?

 先鋒は相手に一歩も引かない良い内容。今日の快進撃は先鋒が作ったといってよいでしょう。実力を出したものの敗退に納得です。
 次鋒も同様に敗戦。この試合にもう少し意地を見たかったところですが、残念でした。
 中堅は意地の秒殺!実力が東京レベルであるということが証明できた一戦となりました。
 副将は、これまた予想外(?)の引き分け、ここで負けなかったことは、彼にとって大きな財産となることでしょう。
 大将は、刀折れ、弓つき、すでにボロボロの状態。ここまでよく戦ったと言ってあげたいと思います。負けてもその眼には口惜しさがにじみ出ており、今日の経験が彼に大きなものを与えたに違いないと確信しています。

 長く錬成大会に参加し、強豪道場と週一弱小道場が試合をし、相手チームに馬鹿にされ、笑われ、負け続け、それでも参加し続けた理由は、この経験こそが普段の稽古10倍であるという教えと、常に大きな海に挑み続けて、井の中にの蛙にならないようにとの思いがあるからです。
 もちろん結果が出れば最高ですが、たとえ負け続けていても、この負けを明日の勝ちへとつなげられるように修業することが大切であると考えるのです。
 今日ここに、実力でベスト16の勝利を勝ち取りました。これは奇跡でしょうか?

 まだまだ私も、そして保護者の皆さんも子供たちの可能性を信じてあげなければなりませんね!要成館は今日から新たな戦いが見つかりました。それは、強豪と言われている名門道場に勝つということです。
 週一で何を言ってんだとよその道場は笑うかもしれませんが、今日の試合を経験して、このチームならやれるかもしれないと思った一日でありました。

 これはまぐれでも奇跡でもないでしょう。それを次の大会で証明したいと思うのは私だけでしょうか?

選手諸君!いざ進め!

 保護者の皆さん、一日お疲れさまでした。特に4年生以下の保護者の方、長い間のご観戦と応援ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

監督で入った、Y先生、サポートに入ったN先生、H先生、一日お疲れさまでした。

なお、今回要成館Aチームは、東京都でベスト16となり、

平成29年7月25日(火)日本武道館で開催される、
「第52回全国道場少年剣道大会」へ東京都代表として出場が決定いたしました。

選手並びに保護者の皆様のご協力とご声援をよろしくお願いいたします。

要成館 館長

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